弁護士と司法書士の業務の境界の判例
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弁護士と司法書士の業務の境界の判例
(最小1判平成28年6月27日(平成26年(受)1813号、1814号)損害賠償請求事件)
【まとめ】
個別に額面140万円以下の債権については認定司法書士が代理することができるが、
それ以外は弁護士法違反
【背景】
裁判や裁判外の和解の代理は弁護士しかできないのが原則ですが、司法書士法3条に基づき、法務大臣の認定を受けた司法書士は簡易裁判所における裁判や裁判外の和解の代理をすることができます。
簡易裁判所の民事事件とは、訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求(裁判所法33条)の事件です。したがって、シンプルに言えば140万円以下の事件を認定司法書士が行うことができますが、140万円を超えてしまうと弁護士法に違反することになります。
【最高裁の判断】
今回最高裁は、過払い金請求に関する事件について判断をしました。その内容は、「裁判外の和解について認定司法書士が代理することができる範囲は、個別の債権ごとの価額を基準として定められるべきものといえる。」というものです。
つまり過払い請求の事件でいえば、個別の債権額が140万円を超えないなら認定司法書士が受任できるということです。
【具体例】
Q 120万円の債権と100万円の債権がそれぞれある場合に、全部を認定司法書士が代理できますか?
A たしかに債権全額では220万円と簡易裁判所の範囲を超えていますが、個別の金額が120万円と100万円とそれぞれ140万円を超えていないので認定司法書士が代理できます。
Q 200万円の債権ですが、金融業者との交渉の結果170万円に減額となりそうです。そうすると依頼者が得する金額は30万円だけです。この場合に、認定司法書士が代理できますか?
A できません。債権の額面額が200万円のため140万円を超えてしまうことになります。